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【11】シャー・ルク・カーン物語 [シャー・ルク・カーン物語まとめ]

ミール・タージ・ムハンマド・カーン、最年少の独立闘士、ついに開業しなかった弁護士、大きな成功に恵まれなかったビジネスマンにして作品を残さなかった詩人、息子という作品の桁外れの成功を目にすること無く、1980年9月19日死去、享年52歳。

ミールの遺体が無言の帰宅をした頃、ファティマはレディ・シュリ・ラム大学までシャールクに姉を呼びに行かせました。シェーナーズは、父の指示により、寄宿生活を送りながらそこで学んでいたのです。弟を見て不思議がるシェーナーズに、シャールクはろくすっぽ目も合わせず、二人はリクシャーに乗って家に帰りました。「お父さんが死んだと言うと取り乱すだろうから、まずは家に連れて帰るように」と母ファティマから言われていたのです。
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当時住んでいたサフダルジュングの小さな家に着くと、そこは大勢の人々が出入りし、ざわついていました。家に入ったシェーナーズが目にしたのは、白い布にくるまれて部屋の中央に横たわる最愛の父の遺体でした。彼女はそのままゆっくりと、根元に斧を打ち込まれた木のように倒れて行きました。激しく床に身体を打ちつけ、あたりに置いてあったグラスは砕けて飛び散りました。シェーナーズがこのときに受けた衝撃はあまりに大きく、彼女の後の人生を変えてしまうことになりました。健康で知性豊かな、よく笑う娘だったシェーナーズは、このとき以来精神の均衡を失ってしまったのです。

シャールクは涙を見せませんでした。中学2年生のシャールクは、棺をかつぐ6人の内の一人を任され、自分が急に大人になったような気がしました。がちがちの父権社会であるインドで、一家から父親が失われるということは最悪の悲劇でした。悲しみと戸惑いと、父親を奪っていった運命への大きな怒りをたぎらせつつも、唯一の男性として、家族を支えていかなければと気負ってもいました。長身のミールの長い棺を土に埋葬する時、そんなシャールクの心をなだめるかのように、静かな雨が降りました。

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《続く》


《おまけ》 iamsrk@Twitter
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30 yrs ago this day my dad died. never said wot i should be.i want to be a gentle & funny father more than any other title. miss him lots.
4:11 PM Sep 19th, 2010 via web
30年前の今日、父が死んだ。何になれとも言われなかった。他のどんな立場よりも、優しくて面白い父親になりたい。父がとても恋しい。

on days when issues surround me that need strength..i wish he was here to beat up all.my dad was the strongest...& the handsomest.
2010年9月19日 16:16:11 via web
色々なゴタゴタに取り巻かれ、強さが必要なとき、父がいて皆をやっつけてくれれば良いのにと思う。父さんは誰よりも強く、最高にハンサムだった。

i dont remember my dads skin...his touch or his voice anymore. only his eyes...& his smile..full of promise that he will always be there. 2010年9月19日 16:19:25 via web
父の皮膚がどんな感じだったか思い出せない。手触りや声も忘れてしまった。父の眼と笑顔だけは忘れない。「いつもいるからね」という約束に満ちたまなざし。

one last thing before i miss my dad even more. all of you go & give a hug to ur dads once a week, without reason. fathers like that. i know. 2010年9月19日 16:27:14 via web
ますます父が恋しくなってしまうからこれで最後。皆自分の父親のところに行って、週に一度は抱きしめて上げて。理由もなくね。父親はそういうのが好きだ。僕にはわかる。

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